日本から出張の同僚と、9時にチャイナタウンで食事、10時にホテルへ送って、今日は早い帰宅になったなと思いつつ、いつもと違うSacrament Streetを通って家に向かった。
Stockton Streetを越えてちょっと行ったところで、背後に人の気配を感じ振り向くと、すぐ後ろに15,6ぐらいの少年。「今何時?」と聞かれたので、「10時」と答えると、真横に走りよってきて、肩を掴んで低い声で何か言ってる。「…銃…」ん? 今「銃」って言ったか? 少年の青いナイロンジャケットの腹のあたりに細長いものが突き出している。
やっと状況を把握したぞ。どうやら強盗に遭っているようだ。
「金を寄越さないと撃つぞ」と言われたようだが、「ほとんど持ってないよ」とは自分でも間抜けな返事をしたものだ。「いいからよこせ」というので、ポケットから札を出す。中華屋で残り少ないのを確認したばかりだった。たぶん$12だと思う。少年は、それをガシッとつかむと、坂を走りおりていった。
走り去ったのを見ながら、今から叫んでどうにかなるかなあ、などと考えているうちに、叫ぶ機会も逃してしまった。そのまま帰宅することにした。歩きながら、ほんとにあんな子供が銃なんか持ってるのかなあ、とか、このへんは安全と聞いていたのに、とか、僕より小さかったし闘うという選択肢もあったのかなあ、とかいろいろ考えるが、たぶんびっくりしていたんだろうなあ。財布が手付かずだったのは助かるが。