Markと寿司食いながら話してたときに、面白いことを言われた。
いつもダイレクトなMarkが、「聞きにくい話なんだけど」と珍しく前置きして、「日本人はどうして黒人を差別するのか?」と言う。「差別されたの?」と訊いたら、Mark本人は差別されたことはないという。でも、他の在日黒人たちがよく差別されたと話しているとかで、気になっている話題らしい。
「街でじろじろ見られることとかを差別と言ってるの? だとしたら、見かけが一人違う人が見られるのは、ものめずらしいからでしかたがないよ。僕もイギリス(の田舎)ではよくじろじろ見られた」と言ったら、それは差別だとは思ってないという。Markも、何年も韓国に居たから、もう周りの人がぎょっとしたり、注視してきたりするのは慣れてるらしい。
僕の回答はこうだ。「ほとんどの日本人は、日本人以外はみんな差別してるよ。別に黒人だけじゃない。韓国人、中国人、他のアジア人も差別するし、白人は逆に優遇する人も多いけど、それもここ数十年の話だし、白人にしたって、よそ者扱いで対等に接しないのは同じ。」
「自分たちと違うものに対して警戒したり拒絶したりするのは、人間の本性だと思う。人はなるべく異質なものとは関わりあいたくないんだよ。そういう拒否感を、頭で考えて抑えたり、さらに違いがあるということを楽しめたりするようになるには、知識とか経験とかが必要なんだと思う。そういう機会の少ない人は、どの国の人だろうと差別する側にまわるだろう。合衆国はより異質な人が回りにいるし、そこのところの法律や教育はまだましだから、見える差別は少ないだろうけど、差別があるのは同じでしょ」
というふうに話したら、やっぱりお前は変だな、と言われた。僕以外の日本人、彼の中学校の同僚とか、社会人クラスで教えるときの生徒とか、に日本での黒人差別について聞いたときは、みんながみんな、「日本に黒人差別なんてないよ」、と答えるんだそうだ。
「そりゃあれだ、実際にあるかないか、という話と、あってはならない、という建前がごっちゃになってんだな」と説明したが、そんなことを混同するか? と腑に落ちないようすだった。