ドアを叩く音で目が覚める。「部屋の掃除に来ました」とか言っている。返事になってるのかなってないのか、自分で覚えてないなにかを叫ぶと、去っていった。時計を見ると10時。12時に社長に電話することになっているので、この掃除のおばさんのノックは助けになった。
髭をそり、シャワーを浴びて街へ。軽食の店はそこそこたくさんある。ピザ、ブリトー、カフェ、中華、ケバブなどあったが、ベーグルを選ぶ。ベーグル$2.95。お茶$1.10。昨日も思ったけど、コーヒーだったら25セントとかなんだよなあ。お茶といってもお湯とティーバッグくれるだけだし、頼む人が少ないのか、一発で通じないこともあった。紅茶飲みにはつらい国だ。アメリカンコーヒーに転向するか?
家に帰り、前からメールで連絡を取っていた、Nob Hillのシェアに電話連絡。今日いまからはどうか? と聞かれたので、見学に行くことに。枕元にチップを置いてホテルを出た。ホテルからは5ブロックほど。ただしずっと上り坂。かなり急だ。何本か横の道にはケーブルカーが走ってるくらいだからな。ふうふういいながら指定の番地に到着した。
玄関でブザーを鳴らし、開けてもらって4階へ。エレベーターがドアを手であけるかなり旧式のもの。小柄な長髪のアジア系の女性が部屋のドアを開けて待っていた。フラットに入る。靴は脱いで生活してるみたいだが、履いたままでいいというのでそのまま。左が彼女の部屋、正面に開いてる部屋。厚手のカーペット敷きで6畳ぐらいか。前には窓があり、隣のアパートが見えはするが日あたりはいい。カップボードが半畳。入口から右手にバストイレ、さらに右がリビングルーム、リビングの奥がキッチン。開いてる部屋はunfurnishedでなにもないが、リビングやキッチンには一通り揃っている。また、リビングの奥のドアを開けると階段があり、そこをあがると屋上だ。高層ビル街やツインピークスが見えて、かなり気持ちがいい。
部屋に戻って彼女と話す。7年前に台湾から来たとのこと。unfurnishedなのでベッド等は自分で買う必要があること、キッチンやリビングの電化製品、食器、テレビ等はすべて使えること。など確認。
ゲストとかを泊めるのはどうか、と聞いたら、問題ないけど前もって誰が来るかは予告してほしいとのこと。前のフラットメート(女性)は、いつも違う男性を泊めていたので困った、いわゆるOne night standばかりね、と、非難がましく言うので、それは個人の自由じゃないですかと答えたが、そうなんだけど、自分が知らない人が、そして多分連れて来た彼女も名前とかを知らない人が家に出入りするのは、セキュリティ面で良くないでしょ、と言われたので、それもそうか、と思った。その連れてこられた人が、勝手に物を盗っていったり壊していったりしても、責任の取らせようがないものね。
まだ最初の物件なので、相場がどうなのかよくわからない。ただ、彼女は信頼できそうだし、静かな生活が得られそうだと思った。今朝他の女性も見学に来たということで、早くデポジットを払った人が部屋を取るという、first come, first servedで。他にも見学の予定があるので、あとで連絡する、と言って辞した。
アパートメントを出たところで、社長が奥さんと車で待っていてくれた。ここの番地と見学が終わりそうな時刻を伝えておいたのだ。社長の奥さんは初めてあったけど、きれいな人だ。でも社長と一緒で飾らない感じがいい。
車で、いくつかコンドミニアムを案内してもらうことに。まず行ったのは、金融街から東に徒歩10分ほどの場所、昔、10年前に社長が初めてSFに来たときに住んでたところ。Trinity Towers。Rental Officeに行って、セールスの人に部屋を見せてもらう。4階と3階の部屋で、Studioが月$1250。
次が、ベイブリッジのたもとに近い20階立てぐらいのコンドGolden Gateway Centerの14階のstudio。ベランダからベイブリッジが見えるものすごくいい部屋。キッチンなども立派で、食器洗い機までついてる。$1625という値段を聞いて絶句。さらに南に行って、湾のそば、ダウンタウンまでは徒歩20分か無料シャトルバス、というGolden Gateway Center、こちらは低層で、温水プールが3つあったりする。緑も多い。ここが$1275。
いくら立派で広くてプールやジムがついてても、一部屋に16万円も払えないよ。と弱音を吐いたので、ちょっと危険な地域の休めのアパートに連れて行ってもらう。Market通りx8th通りのアパートは、実際には使う気になれない小さいプールとジムがついて、$800。住人は学生が中心ということ。さすがにこれまでのよりみすぼらしいけど、ここはfurnishedでベッドがついてるし、悪くない。会社までは地下鉄2駅になってしまうが。
ここでジャパンタウンへ移動。ここにも情報があるということで、日系スーパーの掲示板を見る。ちょうど社長の目の前で、シェアメイト募集の広告をはっていった若い男性がいたそうだ。その場でひきとめて質問しようか迷ったということだが。でも、サンセット(太平洋側に近い)だったので、バスで20分とかかかりそう。
ダウンタウンからそう遠くないところで、「部屋あります。日本語、中国語、韓国語OKです」という激安の募集広告発見。電話番号をちぎって持ち帰る。
ジャパンタウンの2階で晩御飯に。お好み焼き屋に入る。定食や寿司もあり、なんだか妙だ。一枚$8ぐらいのお好み焼きやモダン焼きを食べる。店は客でいっぱいだった。それも日系じゃないのも多い。2階建てのモールの中は、紀伊国屋書店、たくさんの日本料理店以外にも謎の呉服屋とかおみやげ屋など、どうみても日本人が買うとは思えないインチキ日本風の店があり、しかもにぎわっている。エキゾチックな観光地としてもうまくいっているところのようだ。
ホテルに帰る。明日の朝出て行くのはどうみても不可能なので、延泊を頼む。とりあえずあと2泊。あと、これまで使った電話の額がわかるか、と聞いたところ、明細をプリントアウトしてくれた。
部屋に戻って明細を見たが、市内は一回100円ほどだが、携帯と市外向けは一回300円も取られている。6,7本の電話で2000円とかだ。こりゃたいへんだ。気軽にかけられないな。
と思いつつ、肌寒い中公衆電話からかけるのも嫌だし、部屋からさっきの激安広告の番号に電話。すると、なまりのある男性が出て、今運転中だから後で10時前後にこっちにかけなおすという。車内の誰かがメモを取っているようで、こちらのホテルの番号を教えたが、電話の後ろで複数の子供の声も聞こえた。運転手らしい男性はどこかから帰宅する途中と言ってたが、この人とのシェアではないのか、それとも子供のいる家族とシェアなのか。
10時半頃、ホテルの部屋に電話がかかってきた。さっきの男性。広告の部屋の場所を聞くと、なんとこのホテルから1ブロックしか離れてない。このホテルが会社から2ブロックだから、会社からもとても近いということになる。こんな便利なところで他の半額に近い値段というのはいったいどういうことか、と思ったので、「とてもいい場所ですね、相場よりかなり安いと思うけど、何か理由があるの」と聞いたところ、「べつに。ただナイスな人たちが住んでいるだけですよ。部屋はちょっと狭いかもしれませんが。10フィートx10フィートの部屋なので、荷物の多い人はだめかもしれません。あなたは荷物多いですか?」ということだ。まとにかく、明日の10時に見に行く約束をした。
TVを見ながら日記を書き、1時頃就寝。